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被災3県警に神奈川から65人出向へ、泉署・渡辺智洋巡査「被災した故郷のため、何でもやる」

2012年1月28日

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故郷に特別出向する渡辺巡査=泉署

故郷に特別出向する渡辺巡査=泉署

 各都道府県警の警察官750人が今年2月から来年3月末までの約1年間、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県警に特別出向する。神奈川県警からは警視庁の200人に次いで2番目に多い65人。「故郷に少しでも恩返しができれば」。宮城県出身で泉署上飯田交番に勤める渡辺智洋巡査(24)も被災地に向かう。

 通っていた自動車学校は跡形もなく、さび付いた鉄骨だけをむき出しにしていた。潮のにおいがやたらと鼻を突く。

 海岸沿いの10メートルはあった防風林の松林がそういえば根こそぎなくなっている。海が見えた。

 震災発生から約1カ月たった4月中旬。愛車のホンダ「アコード」を走らせた先に、津波になぎ倒された町があった。「こんなに海が近いなんて、そのとき初めて知りました」

 太平洋沿岸に面する宮城県亘理郡山元町は福島との県境にある。人口は1万6711人(2010年国勢調査)。小さな町は面積の50%が浸水し、人口の半数近くが被災した。

 幸い両親は無事だった。津波は沿岸から3~4キロほど離れた実家の直前まで迫ったが、引いていった。ただ大切な人を失った。恩師渡辺兵一さん。中学校からの剣道の師匠だった。

 週2回、道場に通うのが日課だった。午後7時半から9時半までの2時間。「剣道の基礎の基礎から教わりました。本当に優しく指導してくれました」

 高校卒業の06年3月。神奈川県警に合格したことを告げると、自分のことのように喜んでくれた。「これで剣道続けられるな。帰ったら稽古すっぺな」。仕事が忙しく、竹刀を合わせることがかなわなかったことが何より悔しい。

 遠く離れた神奈川で何ができるか。震災後、交番勤務員として考えた。自治会の会合に積極的に顔を出し、住民にも多く声を掛けた。

 「つながりがあらためて大事だと気付きました」

 昨年、特別出向の話がきた。震災直後の一時期、辞職して故郷に戻ろうとまで考えていた。それだけに腹は決まっていた。

 出向する宮城県警では地元の亘理警察署に勤務し、パトカーでの巡回業務などにあたる予定だ。

 「神奈川県警の代表という気持ちを持って、それとは別に自分のためにも、できることは何でもやろうと思っています。全部返せるわけではないですけど、少しは恩を返せるように。不安は全くありません」



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