知る×つながる=動きだす カナロコ 神奈川発コミュニティーサイト

ログイン

新規登録

  • お問い合わせ
  • たびたびある質問
  • サイトマップ

人間の幸せ求め続け、チョーク製造最大手の日本理化学工業/川崎

2011年3月23日

 ソーシャルブックマーク  (ソーシャルブックマークとは)

この記事のコメントを見る

文字サイズ:

できたばかりのチョークを手に「社員の頑張りには頭が下がる」と笑顔をみせる大山会長=川崎市高津区

できたばかりのチョークを手に「社員の頑張りには頭が下がる」と笑顔をみせる大山会長=川崎市高津区

 「人間の幸せって何だと思いますか?」。穏やかな笑みを浮かべながら、大山泰弘会長(78)は唐突に切り出した。「僕は、世や人の役に立つことが、最高の幸せだと思うんです。もっとも、教えてくれたのは彼らですが…」。ほほ笑む視線の先では、知的障害者の社員が普段と変わらぬ様子で、黙々とチョーク作りに汗を流していた。

 障害者雇用を始めたのは1960年。近所の養護学校の教諭が「子どもたちを働かせてほしい」と訪ねてきた。「卒業後は施設に入り一生働くことを知らずに過ごす」との言葉に断れず、2人を実習生として受け入れた。「2週間の実習で終了するつもりだったんですが、社員たちに『面倒を見てやってください』と頭を下げられて…」。押し切られるような形で、雇用に踏み切った。

 当初は材料の表示も読めず、時間を計るのも難しかったが、重りを色で識別させたり、砂時計を使わせたりと工夫すると、徐々に仕事を覚えた。2人は毎日楽しそうに出勤し、終了時刻を過ぎても作業を続けた。

 疑問だった。なぜ、こんなに一生懸命なのか。「働いているより、施設にいる方が幸せだろうと思っていた」。だからある日、知り合いの住職に言われた一言は衝撃だった。「人に必要とされ、褒められ、人の役に立ち、愛されることは人間の究極の幸せなんですよ。それを彼らは実感できているのでしょう」。ハッとした。「企業には人を幸せにする力があると分かった。そのときから頑張ってみようと思ったんです」

 重度を含む知的障害者を次々と受け入れ、現在は全社員の7割を超える55人が働く。近年は、環境に優しい商品も開発。2006年に商品化した筆記具「キットパス」は、ガラスや窓などつるつるした面なら消せる上に、口紅と同様の材料を使い口に入れても安全なことから人気を呼ぶ。チョーク製造最大手として成長を続ける中、1960年に入社した女性社員もまた、66歳の現役として元気に働いている。

 「障害者が働き、人の役に立つ商品を作る。給料を得て自立した生活を送ることで、その地域も活性化する」。障害者雇用から半世紀。固い信念に揺るぎない自信が加わった。「環境問題に取り組むのもいいが、今生きている人のために頑張る企業を、国民も一緒になって応援する社会でないといけない」。会社案内には、自らの志を示すようにこうつづられていた。21世紀は人間としてのやさしさを、人や地球に向ける時代が求められている―。

 ◆日本理化学工業 チョーク製造会社。本社は登記上は東京都大田区だが、事実上は川崎市高津区。北海道美唄市にも工場を持つ。1937年に設立。知的障害者雇用をスタートさせた60年以降、重度を含む障害者を積極的に雇用し、これまでに内閣総理大臣賞など数々の賞を受賞。現在は、全社員74人のうち55人が知的障害者。



神奈川新聞の関連記事


この記事へのコメント

この記事へコメントする

コメントを投稿するにはログインが必要です。

神奈川新聞購読のお申し込み

神奈川新聞 1週間無料お試し

企画特集【PR】

  • 広告のご案内
  • 神奈川新聞の本のご購入とご紹介
  • Good Job
  • フォトサービス
  • カナロコ碁会所
  • 「おはようパズル」へ応募
  • 神奈川新聞への情報提供と取材依頼
  • 「自由の声:への投稿
  • 会社概要
  • 採用情報
  • Happy News
  • 2011年 第3回かながわ新聞感想文コンクール