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高校軟式野球:3年生の赤根、負傷乗り越えた一打/神奈川大会

2010年7月28日

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 ここで打ち、ここで決める。それが運命だったとしか思えない。無安打のまま追いついた七回。なお2死三塁は、横浜商にとって最初で最後と思えるチャンスだった。代打には、4人いる3年生で唯一ベンチスタートだった赤根が送られた。

 1年夏。「レギュラーを取りかけた」矢先に、試合中に自打球が左目を直撃。病院へ運び込まれた。診断結果は失明寸前。2・0あった視力は0・1まで落ちた。医師からは当然、野球をあきらめるよう宣告された。

 「サポートに回ることも覚悟した」が、周囲の励ましもあって秋に復帰。だが、遠近感がつかめず、ゴムボールを使ってのトレーニングでも捕球すらままならない。今も、上寄りの視界は回復しないままだ。

 守りでは貢献できない。チームメートがノックを受けている間も打撃練習に集中し、一振りに懸ける生き方を見つけた。「流れを変える不思議な力を持っている」と佐藤邦宏監督(30)。だから、あの場面で送り出すことに何の迷いもなかった。

 ベンチ裏で素振りを繰り返していた赤根は、グラウンドの歓声で追いついたことを悟った。出番があるとすれば「ここで決めるという場面以外にない」。それが今であることも分かっていた。

 カウント2―2から真ん中高めの直球をコンパクトに振り抜いた。チーム初安打が、勝ち越しの一打に。一塁上で何度も、何度もガッツポーズをつくった。「頭はもう、真っ白」。ただ、スタンドの声援だけが耳にこだましていた。

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