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座敷わらしの導き?故遠藤周作氏ゆかりの旅館で「遠藤周作さん」が人命救助

2010年3月13日

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全焼の火事にも延焼を免れた座敷わらしをまつった神社(上)と、旅館の焼け跡周辺(下)=岩手県二戸市

全焼の火事にも延焼を免れた座敷わらしをまつった神社(上)と、旅館の焼け跡周辺(下)=岩手県二戸市

 昨年10月4日夜、「座敷わらしが出る旅館」として知られる岩手県二戸市の「緑風荘」が火災に見舞われ、全焼した。その際、横浜税関監視部に勤める遠藤周作さん(28)=横浜市南区在住=が逃げ遅れた女性を助けたとして、二戸市長から感謝状を贈られた。同館は芥川賞作家の故遠藤周作さんに親しまれたことでも知られ、旅館関係者は「同姓同名の遠藤さんが人を救ってくれるとは」と驚いている。

 午後8時半の出火当時、遠藤さんは2階の部屋で食後の仮眠を取っていた。「夢の中で焦げ臭いにおいをかいだ気がしたんです」。目を覚ますと煙に気付き、すぐに2階の窓から飛び降りた。

 遠藤さんは、取り残された人はいないかと、外から「誰かいるか!」と叫び続けた。2階の部屋の窓から母と息子の親子が顔を出した。

 「降りてこい!」。息子は自力で脱出したが、母親は立ちすくんだままだった。遠藤さんは排水パイプをよじ登り、女性を左腕で抱え込み助け出した。「もう、自然に体が動いていました」

 右足のねんざに気付いたのは、避難を終えた後。鎮火まで7時間の大火事にもかかわらず、21人の客に、遠藤さん以外のけが人はなかった。

 同館は300年の歴史を誇り、「座敷わらしに出会える宿」として知られていた。文化人、著名人も数多く訪れ、「狐狸庵」とも名乗った作家の故遠藤周作さんも自身のエッセーなどで度々書いていた。

 横浜税関に勤める遠藤さんを「周作」と名付けたのは母方の祖母。特に意識したわけではなかったというが、遠藤さん自身は同姓同名の文豪に共感を覚え、作品に親しんできた。緑風荘を予約したのも、「遠藤周作さんが訪れた宿に自分も行ってみたかったから」。あこがれの作家の足跡に、自らを重ねてみたかった。

 出火原因はボイラーの爆発で、同館は全焼した。まだめどは立っていないが、現在は再建に向け準備中だという。社長の五日市洋さんは「もしお客さまが大けがでもされていたら、再建という話も難しかったはず。本当に遠藤さんのおかげです」と言う。

 建物のほとんどが焼け落ちる中、座敷わらしをまつった中庭の神社だけがぽつんと残った。五日市社長は、「座敷わらしが遠藤周作さんを呼んできてくれたのでは」と思ったという。



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