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学校選択制に逆風、課題多く二の足踏む自治体も/神奈川

2010年3月8日

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学区外からの児童受け入れを見合わせる市立逗子小。普通教室が不足し図工室を転用しているため、教室内に水道が設置されている=逗子市逗子4丁目

学区外からの児童受け入れを見合わせる市立逗子小。普通教室が不足し図工室を転用しているため、教室内に水道が設置されている=逗子市逗子4丁目

 「学校選択制」に逆風が吹いている。逗子市教育委員会が市立小学校の学区希望制を2011年度入学から3年間休止することを決めた。設備が充実している特定校に希望者が集中し、学区外からの受け入れを見合わせる事態が生じ「選択の公正性」が保てないことなどが理由だ。子どもや保護者に「選択する権利」を与え、教育への関心を高めるという利点がある半面、地域との連携が希薄になるなどの課題も指摘されており、導入に二の足を踏む自治体も出ている。

 入学したい公立小中学校を選び、教育への関心向上や特色ある学校づくりなどが期待できる同制度。1997年に文部省(当時)が「通学区域制度の弾力的運用」を通知後、全国に導入の動きが広がった。県内では逗子市が市立小中学校で、横須賀市と厚木市は市立中学校で取り入れている。

 逗子市は2004年度までに市立小5校、市立中3校で学区希望制を導入。各校が学区外からの受け入れ枠を設け、希望者が多い場合は抽選となる。1校の受け入れ枠は年5~20人程度だが、市立逗子小だけは09年度から受け入れを見合わせていた。

 同校は校舎が新しく、駅に近いことから学童保育を利用する保護者に人気があり、学区外からも希望者が殺到。宅地開発で転入者が増え、1学年4学級という設計範囲を超えてしまったためだ。児童が授業を受ける普通教室が不足し、昨年度から図工室を転用してしのいでいる。

 市教委は選択機会の公平性や遠距離通学する児童の安全確保、長期的な入学者の把握などが困難と判断し、小学校の学区希望制を10年度の新入生限りで休止することにした。ある学校関係者は「施設の充実度でなく、それぞれの教育方針を比較して選べるようになるまで凍結が望ましい」と理解を示すが、保護者からは「これから入学する下の子は別の小学校に通うのか」と戸惑う声も出ている。

 学校選択制の導入率は全国でも低下。市区教委を対象にした08年度の内閣府調査によると、公立小学校は12.9%(前年度14.2%)、中学校は14.2%(同16.6%)と減少。逆に「検討もしていない」という小学校は76.5%(同75.3%)、中学校は75.6%(同73.3%)といずれも増加している。

 横浜市教委は1月、市立中学校を対象に一つの区で先行的に実施する計画だったモデル事業を先送りした。学校現場などから「地域とのつながりが希薄になる上、学校間に学力格差が生じるのではないか」などの慎重論が相次いだためだ。

 実際、内閣府調査で学校選択制による弊害も報告されている。「導入してよかった点」として選択制の理念である「特色ある学校づくりが推進できた」が上位にあった一方で、「導入して悪かった点」では、小中学校とも「学校と地域の連携が希薄になった」が最も多かった。

 教育現場の実情に詳しい横浜国大教育人間科学部の高木展郎教授(教育方法学)は「学校選択制によって、教育の機会均等が保障されにくくなる場合もある。教育には地域の力が必要」と指摘。今後の制度導入の広がりについては「地域で子どもを育てる大切さが再認識されてきており、普及の度合いは弱まるのではないか」とみている。

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