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耐震偽装マンション建て替え再入居から1年、住民がきずなで苦難乗り越え/川崎

2010年2月28日

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建て替えられて再入居が始まってから1年がたった「グランアビスタ川崎大師」=川崎市川崎区

建て替えられて再入居が始まってから1年がたった「グランアビスタ川崎大師」=川崎市川崎区

 2005年秋に全国で次々と発覚した耐震強度偽装問題。その物件の一つ、川崎市川崎区の分譲マンション・旧「グランドステージ(GS)川崎大師」が建て替えられ、住民が再入居を始めてから28日で1年を迎える。当初の購入費に数千万円の追加負担を合わせた“二重ローン”、世界的な不況による年収の落ち込み…。この4年余、いくつもの苦難を乗り越える中、芽生えた住民同士や家庭内の固いきずなが、暮らしを支えている。

 「国立大学が駄目だったら就職するよ」。大学受験を目前に控えた高校3年生の長男が、二重ローンを抱える親を気遣った。母親(46)は、その言葉に胸が詰まった。

 「ついのすみかに」との思いで04年秋に新築マンションを約4千万円で購入した。しかし、入居わずか1年後に耐震偽装された物件と判明。震度5強の地震で倒壊の恐れがあるとされ、退去を余儀なくされた。行政による建築確認などが不十分だったことも指摘された。

 国や市が建て替えにかかる費用の一部を負担したことに「税金泥棒」と記された中傷ビラがポストに入れられるなど、二次的な被害もあった。マンション前で面白半分に記念写真を撮られる苦痛も味わった。「腹が立つというより、こんな人がいるんだ」と世の中に寂しさを感じた。

 現在は夫と共働きで、ボーナス払いとは別に月々26万円のローンを返す生活だが、「昨年はボーナスが減り、雇用そのものが今後続くかどうか」と想定外の事態に不安を募らせる。

 当初購入費の倍近くを抱えた長期ローン。やむを得ずの節約志向だったが、外食が減ることで自宅での食事の機会が増え、家族の距離が縮まったと実感する。それでも「2人の息子にローンを引き継ぐわけにはいかない。定年退職したらマンションを引き払うしかない」と漏らす。

◇◇◇

 「23世帯の住民がみんな戻ってきて、本当によかった」と語るのはマンションの管理組合理事長を務める平貢秀さん(46)。問題発覚以降は住民間で話し合いを繰り返した。元1級建築士や市などを相手取った昨年の損害賠償訴訟にも全世帯の33人が名を連ねた。

 「今はお互い顔見知りで防犯の面でも役立っている。バーベキューやお花見に半数以上の世帯が参加することもありますよ」。近所付き合いが希薄なマンションが多い中で思わぬ効果を強調する。

 幼稚園児3人の父親。ローンの話になると表情を曇らせる。「今後かかる教育費のために貯蓄しなければいけないのに、今はローンの返済で精いっぱい」

 住宅ローン控除が当初のマンション購入費に対しては適用されないといった制度面での不満もある。

 しかし、気持ちは前向きだ。鉄筋コンクリート9階建て。間取りも規模も建て替え前とほぼ同じだが、「防音や免震は完ぺき。目の前の電車の音も聞こえない。いろいろあったけど、ここに住んでよかったと思っています」。

 ◆グランドステージ川崎大師 姉歯秀次元1級建築士が構造計算書を偽造するなどした耐震強度偽装問題で、2005年11月に、国が定める耐震基準の約30%の強度しかないことが判明。川崎市は使用禁止命令を出した。住民は自主再建に取り組み、07年11月から建て替え工事が始まり、09年2月にマンション名を「グランアビスタ川崎大師」に変更して完成。退去していた23世帯すべてが再入居した。

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