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司法も「エコ」配慮? 越境樹木訴訟で枝のみ切除判決/横浜地裁

2009年6月21日

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 「生活被害」か「自然保護」か-。敷地を越えて伸びた大木をめぐり争われた民事訴訟の判決が今月5日、横浜地裁(中山顕裕裁判長)で言い渡された。判決は「環境保護」を理由に、木の幹を切ることなく、境界線を越えて伸びた枝についてのみ切除を命じた。民法233条では、この種のトラブルでは木の根を切りとれると定めており、枝だけの切除を命じた判決は珍しい。同法の制定は1898年。1世紀以上の時が流れ、司法判断にも「エコ」の概念が取り入れられるようになってきたのだろうか。

 判決によると、問題となっていたのは横浜市鶴見区の会社経営の被告男性(64)方敷地に生えている、高さ約8メートル、幹の周り約2メートル20センチの、1本のミズキの大木。木の根元部分は原告の隣家との境界線にまたがっており、幹、枝の大部分は原告の土地の上方に広がっている。被告男性が約2年半前に、「緑を残したい」と自宅に隣接した当該のミズキなどが生い茂る傾斜地約140平方メートルを購入した。

 ミズキは落葉樹のため、葉などが傾斜地の下方で隣接する原告女性(78)方へ落下。10センチを超える大きな葉が、女性方の屋根やベランダ、縁側に積もる。女性は「冬が終われば落葉も終わる」と、我慢して毎日掃除していたが、春には花が、夏には花粉が大量に拡散し、洗濯物が干せなくなるなどしたために昨年2月に提訴に踏み切った。

 裁判所は和解を提案したが、切除部分や切除費用の負担などでまとまらず、判決にまで至った。

 判決は、原告女性の被害を「相当程度の損害が生じている」と認定。しかし、原告側が求めた越境部分すべての切除については、「境界線上の地表約1~2メートルの高さの幹で切除すると、木が枯れてしまう蓋然(がいぜん)性が高い」とし、「樹齢を重ねた樹木は人間の生活環境の重要な構成要素として価値を有するものであり、その損害を軽微なものと評価することはできない」として認めなかった。

 被告側代理人は「環境に配慮し、当事者双方の意見をバランスよくとりいれた、今後のモデルケースになる判決」と評価。被告男性も「越境し迷惑がかかっていた枝の大部分を切除した。結果として緑が残せる」と喜ぶ。

 一方で原告女性は、「切除でとりあえずの被害はなくなったが、10年、15年後にまた同様の被害になったらどうすればいいのか」と不安を隠せない。

 原告側代理人も「環境保全とは次元の違う話。こんなことが許されるのであれば、民法の法意と矛盾する」と判決を批判。「一般論として緑が大切なのはわかるが、侵略行為は許されないはずで、この判断はおかしい」と、控訴する意向だ。

 横浜市内の住宅密集地にそびえるミズキの大木。初夏を迎え、切断された枝の切り口からは新たな緑の芽が生え始めている。

 ◆民法233条 「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者にその枝を切除させることができる。隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる」と定めている。


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