虐待と親権
2010年1月18日
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施設強化策との両輪で
虐待を重ねる親から子どもを守るため、親権のあり方について検討してきた法務省と専門家らの研究会が、親権に一定の制限を加えるのもやむを得ないとする考えを、近く取りまとめる報告書に盛り込むという。深刻な児童虐待の実態を考慮すれば、法律を改め、親権より子どもを保護する施設の長の権限を優先させるなどの措置が虐待防止のより有効な手だてになると見なした。
法務、厚生労働両省は報告書を踏まえて関係法律の見直し作業に取り組む見通しだが、新たな法整備を図ることになれば、併せて児童相談所(児相)などの体制強化も求められよう。
外部からうかがいにくい「密室での悲劇」の解消に向け、法と人的備えの両面から万全を期してもらいたい。
児童虐待をめぐっては、社会的な関心の高まりを受けて法整備が進められ、対策が徐々に打ち出されてきた。虐待の疑われる家庭に児相が強制的に立ち入り調査したり、施設に保護した子どもに親が面会を強要する行為を抑止できるようになったことなどがそうだ。
しかし、改善策が整えられてもなお、教育や居住指定、財産の管理といった親権を盾に、親がかたくなに立ち入り調査を拒んだり、子どもを保護施設から連れ戻そうとするトラブルが見受けられた。
こうしたことから、一昨年春に施行された改正児童虐待防止法の付則に親権の制限について検討する必要性が記され、専門家らが今春から、親権を規定している民法の改正を視野に話し合いを続けてきた。
今の法律でも親族や児相所長らは親権の喪失宣告を出すよう家庭裁判所に要請できる。しかし、親子関係を絶つという重大な結果をもたらす故か、ほとんど行われていない。報告書には親権より子どもを保護している施設長の権限を重視したり、親権の一時停止といった柔軟な考え方が盛り込まれるという。
一昨年中に全国の児相が受け付けた虐待にかかわる相談件数は約4万2700件で18年連続して増えている。件数が急増しているのに対し、相談に当たる児相の専門職員の増員が追い付いていないのが実情だ。
国は報告書の内容を検討し、法案準備に取り組むことになろうが、虐待の解消には施設体制の充実も欠かせまい。
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