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新司法試験

2009年9月20日

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街の法律家どう育てる

 法科大学院修了者を対象にした「新司法試験」の合格率が、過去最低の27・64%まで下落した。「市民に身近な司法」を実現するため、法曹人口を増やすことを目的に始まった新試験は、実施4年目で早くも曲がり角に立たされている。

 新試験には、法科大学院に社会人経験者ら幅広い人材を集めることで、人間性豊かな法律家を生み出すという目的があった。さらに、全国に74の大学院が設置されることで、地域に根ざした弁護士が育つのではという期待もあった。

 だが、大学院別の合格率を見る限り、その目的も期待も達成されていない。合格率が5割を超える上位には、一橋、東京、京都などの常連校が並び、一方で地方の大学院が下位に名を連ねる。県内の学校も、神奈川6・67%、関東学院12・50%、桐蔭横浜12・90%と、いずれも合格者は10人に達しない。

 上位常連校が、まるで司法試験予備校のようになって優秀な学生が集まり、それ以外の大学院との格差が広がっているとすれば、そもそもの趣旨からは本末転倒だ。都市部にばかり優秀な法律家が集まることにもつながりかねず、かねて弁護士不足などに悩む地方との格差は、さらに広がることになる。

 合格率と学生の質の向上のために、各大学院は文部科学省の指導などにより定員削減を進めている。だが、それでは法曹人口の増加という本来の目的は達成できない。実績を挙げられない大学院の変革は必要だが、法科大学院全体の質向上を図る議論をしなければ、本質的な改善は望めないだろう。

 ちまたでは弁護士を“街弁(まちべん)”“渉外”などと呼ぶことがある。渉外とは、外資系企業などの依頼で企業法務を扱う弁護士のことで、比較的収入が高く、人気もある。街弁とはその名の通り、街なかに事務所を構え、よろず相談に乗る弁護士だ。

 どちらの弁護士も大切な仕事だが、新司法試験の目的は、いわば良質な街弁の育成にあると言っていい。「身近な司法」には街弁が不可欠で、全国に散らばった法科大学院には、地域に根ざした法律家の育成拠点となることが求められている。

 教育内容だけでなく、試験のあり方も含め再検討が必要だ。各大学院任せではない、法曹三者を中心とした、社会全体での抜本的な議論をしてほしい。


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